Googleサジェスト汚染とは?名誉毀損の裁判で最高裁は公共性を重視
東京高裁のサジェスト汚染に対する判決 「Googleサジェスト汚染」は名誉毀損に当たらない グーグルの検索サービスで…[続きを読む]
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名誉毀損罪(刑法230条)
公然と事実を摘示し、人の名誉を毀損した者は、その事実の有無にかかわらず
3年以下の懲役若しくは禁錮又は50万円以下の罰金に処する。
公然と・・・ネット上の掲示板に書き込み、不特定多数の方が閲覧する状態にする行為を指します。
事実の有無にかかわらず・・・事実を書けば名誉毀損にならないというわけでもありません。
例えば、コスメや美容分野など、社会的な評価が購買に大きく影響を受ける分野があります。
ネットで社会的な評価を著しく落とすような評判が出てしまうと、売り上げに大きな影響を与えかねません。
あるネイル会社で、未熟なネイリストが多いという書き込みがあったとします。「AAAネイル会社」と検索したときに、「AAAネイル会社のネイリストは未熟なものが多い」というタイトル記事が検索結果に出てくるケースです。
ネイルは、一定の熟練した技能が必要です。消費者は、ネイルに美を求めており、その要求に応えるためには、より高度な技能が必要と考えられています。
この書き込みは、AAA会社のネイル会社に技能熟練者が存在しないというものであるから、社会的評価を低下させるものであって、また、その損害は甚大です。また、そのネイル会社が事実、技能訓練に力を入れているとしたら、上記の記事は事実に反しています。
このように、事実と反する内容をネット上で言い表す行為をネットの名誉毀損と呼んでいます。
ただし、個人の意見の場合があります。
たとえば「自分が依頼した、ネイルの仕上がりをみて、AAA会社のネイルは未熟な者が多いのではないか?と感じてしまった」というのは、個人的な意見です。
この感想を持つこと自体は名誉毀損とはいいきれない部分があります。
「おいしくなかった」「思った出来とは違った」というのは、個人の感想であり、表現の自由も当然守られています。
ただ、この感想を持つにいたった具体的な事柄で、事実無根の創作をしたうえで、「AAA会社は未熟だ」と書いてしまうと、名誉毀損の領域に踏み込んでいくことがあります。
刑法230条の2は、名誉毀損行為が公共の利害に関する事実に係るもので、専ら公益を図る目的であった場合に、真実性の証明による免責を認めている。これは、日本国憲法第21条の保障する表現の自由と人の名誉権の保護との調整を図るために設けられた規定である。
ネットの名誉毀損は、この3要件のうち、「真実性」が争点になることが多いです。だから、真実のことをかけば、名誉毀損罪にならないと考えるのは、正しくありません。
つまり、その書き込みが、公共性がなかったり、公益性を図る目的がなければ、名誉毀損になってしまうのです。
AAA会社の社長は、不貞を犯した!という個人的な書き込みをしても、公益性がないと判断されれば、仮にそれが真実であっても、名誉毀損と判断されることになるのです。
ここで問題になるのが、GoogleサジェストやGoogle関連キーワードにみられる関連検索にそのような名誉毀損ワードが表示された場合です。
「AAA会社」と検索された時に、入力補助や関連キーワードに「AAA会社 未熟」と表示された場合どうなるでしょうか?
単に、ワードの2つの表示だけでは、名誉毀損にならないと考えられています。
今後、裁判事例がでてくれば見解は変わってくるかもしれませんが、まだ関連検索ワード表示に関していえば、ネット名誉毀損は、不十分な対策であるといえるでしょう。
さて、個人名で検索したときに、GoogleやYahooの関連キーワードやサジェストと入力補助に、「死亡」「死ね」「クズ」と出てきたらどうなるでしょうか?
基本削除申請で消えると考え勝ちですが、検索エンジン側は簡単には対応しないのも事実です。
つまり、検索エンジン会社は、基本名誉毀損にあたらないと考えているようです。
検索エンジン会社の中で削除に応じる独自の基準があり、「死亡」「クズ」などが削除申請で簡単に削除申請されないと考えておいたほうが良いでしょう。
企業名を検索して、その下に出てくる関連検索ワード。
次々と、商品名や関連会社の名前など、関連するキーワードをクリックするだけで、ユーザーの評判や、情報を深堀できるので便利な機能であるが、時として困ることがあります。
企業名検索した時、「評判」「ブラック」や「2ch」や「上場廃止」などの関連検索が出た時にどうなるのでしょうか?
特に就職シーズン、学生が企業名を検索することはよくあることだが、「ブラック」と出ただけで、検索会社を名誉毀損で訴えることは可能なのでしょうか?
「ブラック企業」は、パワハラや過剰なノルマ、大量雇って、不正な仕事をさせたりする企業を意味します。しかし、関連検索に、「ブラック企業」という表示されただけでは、直接的には名誉毀損と主張するのは、難しいようです。
つまり、「ブラック企業」と関連検索で出るだけだけでは、具体的な事実を摘示したとは言えず、名誉毀損や侮辱として損害賠償の対象となる可能性は小さいのです。よって、検索エンジン元に出した削除申請が通らない可能性が高いわけですが、しかしなんとかして対策したいと考えるのも経営者の思いでもあります。
つまり、Googleサジェストの判決は、地方裁判所、高等裁判所で判決が変わることもあり、引き続き弁護士に依頼して裁判所の判断をお願いすると言う考えもあります。
ただ、Googleは日本の会社ではありませんので、「日本の法律に規制されない」と考えているようです。よって、裁判を起こし、勝訴したとしても即時その結果が反映されると保証はされていません。
関連キーワード自体は、そもそも多くの方々が検索した結果を反映したものであって、機械的に出ているもの。意図的に表示しているものではないというのが、検索エンジン側の主張です。
つまり、関連検索ワード自体は、ネット誹謗中傷になりにくい検索ワードであるということを私達は忘れてはいけないのです。
法的対応が難しくてもあきらめる必要はありません。システムの対応で、サジェスト対策は進みます。ご質問は弊社までご連絡ください。